本記事はネタバレ要素を含む感想・考察記事です。ストーリーの核心部分は伏せています。続きはぜひ本編でお楽しみください。
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冒頭から悲哀が
扉を開けた瞬間から、じわじわとくる場面が続きます。
深山家の門の前に立つ看板。「ザラスホテル株式会社 社員保養所 改装工事中」の文字。引っ越し業者のトラックが出入りし、近所の人たちが何事かと集まっている。
代々受け継いできた深山家が、こんな形で変わっていく。冒頭のこの情景描写だけで、読んでいる側も悲しい。
会社名義の落とし穴、改めて痛感
搬出作業の中で、数千万円でオークション落札した絵画も「会社名義だから」と置いていかなければならない場面があります。
前回も触れましたが、節税対策で会社名義にしていた家具・美術品・建物が全てザラスのものになってしまった。法的には正しくても、残酷な現実です。
長年仕えてきた家政婦さんたちが涙を流しながら荷物をまとめている様子も描かれていて、深山家の終わりを静かに突きつけてきます。
先祖の写真を前に、圭一が涙を流す
別室で一人、歴代当主の肖像写真を広げて座り込む圭一の姿。
健太が声をかけた時の圭一の言葉と涙が、今回一番胸に響きました。数百年守り継いできたものを自分の代で失ってしまったという、当主としての慟哭です。
その圭一に向かって健太が「絶対に取り戻すから」と宣言する場面、不器用な親子関係がここにきてじんわりと動いています。
そして去り際の圭一の一言「相手は万野だ。お前らが簡単に潰せる相手ではない」という言葉。圭一の敗北者宣言ですかね。
佐都の覚悟の独白が熱い
圭一に「なぜ追い出されたのに戦うのか」と問われた佐都の答えが、今回のハイライトのひとつです。
最初に深山家に連れ戻された桜の会の日から、離れようとするたびに引き戻される出来事ばかり起こってきた。おこがましいかもしれないけれど、「これはもう守れと何かに命令されているんだ」と思った——という佐都の言葉。
「だてにお父さんと戦ってメンタル鍛えられてきたわけじゃないです」という最後の一言。圭一も打ちひしがれながらも佐都の強さに衝撃を受けている様子がよかった。
大介、モナコのカジノで5000万を一気に獲得
深山家が引っ越し作業に追われる中、モナコのカジノで豪遊する大介の場面が入ります。
一気に5000万円を獲得して「やっぱり運は俺に向いてるぜ」と笑う大介。そこへ春菜からの着信が来るわけですが、このタイミングの対比が憎い演出です。
ルーレットで5000万円を一気に稼ぐとはどういうことか

ルーレットの基本的な賭け方と配当を整理します。
一番シンプルな赤か黒かに賭ける場合は配当が2倍です。つまり2500万円賭けて当たれば5000万円になります。
ただしモンテカルロのカジノは1回の最大ベット額に上限があります。通常のテーブルでは数百万円単位が上限ですが、VIPルームでは数千万円単位のベットも可能と言われています。
特定の数字1点に賭ける場合は配当が36倍になります。この場合は約140万円賭けて当たれば5000万円超になります。
パターンA:赤黒ベット
2500万円賭けて赤か黒が当たる → 5000万円獲得
確率:約48.6%(ゼロがあるため50%を下回る)
パターンB:1点買い
約140万円を1つの数字に賭けて当たる → 約5000万円獲得
確率:約2.7%
パターンC:数回に分けて増やす
数百万円から始めて連勝を重ねる
確率:連勝するほど急激に下がる
現実的かどうかという観点では、一回の大勝負なら確率的にあり得ない話ではありません。ただしカジノは長く続けるほど胴元が有利になる設計になっています。
大介が「運は俺に向いてる」と言っていたのはある意味正しくて、この規模の勝ちは完全に運の産物です。

赤か黒かに2500万円を一気に賭けて当てたとしたら確率は約48.6%。コインの表裏とほぼ同じ。ただしハズレたら2500万円が消える。大介の神経の太さはカジノの勝負にも現れています。
モナコ・モンテカルロとは
モナコは南フランスに隣接する世界最小クラスの国家で、モンテカルロはその中心地区。カジノ・ド・モンテカルロは1863年創業の世界最古・最高格式のカジノです。F1モナコグランプリの舞台としても有名で、超富裕層が集まる聖地中の聖地。ドレスコードが厳格で、一般観光客でも入場できますが雰囲気は別格です。
大介の春菜への脅しが冷たい
株を売ったことを責める春菜に、大介が用意していたのは梅田の一等地タワマンーグリーングランーの部屋でした。
「グラングリー大阪」——うめきた2期エリアの大規模再開発物件で、関西屈指の注目物件です。
大阪・梅田のうめきた2期エリアに誕生した大規模再開発の目玉タワーマンション。
積水ハウスが手がける超高級物件で、専有面積126㎡超の2LDK+WICタイプなど。
自己資金の選択肢に「20億円以上」という欄があるあたり、購入層のレベルが伝わってきます。
大介が「王宮部屋」と表現するだけあって、まさにその言葉通りの物件です。

グラングリーン大阪 THE SOUTH RESIDENCE」外観完成予想CG
しかし春菜が「そんなことどうでもいい、本当のことを話す」と言い出した瞬間、大介の態度が豹変します。
「共犯で捕まるぞ。推し活どころか大和くんに顔向けできなくなるよ」という脅し。
春菜の罪は実際どのくらい重いのか
春菜がやったこと:大介の犯罪(株券の盗難・偽造)を知りながら「目撃者」として虚偽の証言をした
問われる可能性のある罪名
・犯人隠避罪:犯罪者をかくまい捜査を妨害した
・証拠隠滅罪の共犯:虚偽証言で証拠を隠した
・詐欺罪の共犯:大介と共謀していたとみなされる場合
罰則の目安:2〜3年以下の懲役
ただし弁護士事務所での聴取段階での虚偽証言は、正式な裁判所での宣誓を経た「偽証罪」とは厳密には異なります。
とはいえ大介の脅しはあながち誇張ではなく、法的にかなりリアルな脅しでした。
中村弁護士、再登場
八寿子おばあさまの遺言書を預かっていた中村弁護士が、今回6名体制のチームを率いて登場します。
これが熱い。
顧問弁護士とは取引中止になってしまった今、頼れる弁護士が誰もいない状況で、八寿子おばあさまが選んだ弁護士がここで再び健太たちと戦ってくれるという展開。
おばあさまは亡くなってもなお、深山家を守り続けています。「頼んだで健太」という言葉が改めて胸に響きます。
春菜の告白——と思ったら
中村法律事務所で6名の弁護士を前に震えながら証言し始めた春菜。健太と佐都が固唾を飲んで見守る中、春菜が語ったのは——大介にとって都合のいい嘘の証言でした。
「間違いなく圭一が自分の意思ではっきりと大介を後継者にすると宣言しました」
健太と佐都が呆然とする場面、言葉を失いました。
アトリエへの脅し
せっかく「分かった、全て話す」と泣き崩れた春菜が翻したのには理由がありました。
神戸北野のアトリエ春菜に何者かが起こしたある出来事。スタッフから連絡を受けて駆けつけた健太と佐都が見たものは——
詳細はぜひ本編で確認してほしいのですが、これが大介なのかザラスなのか、あるいはリツコが絡んでいるのか。「怖い相手なんだ」という圭一の言葉が重くのしかかってきます。
ところで春菜おばさま、いつの間にアトリエのオーナーに?
そもそも春菜おばさまのポーセラーツ、佐都に背中を押されて「人に見てもらう」ところまでは描かれていましたが、気づいたら神戸北野にアトリエを構えて個展を開けるレベルになっていました。
ポーセラーツで個展を開くとなると、数年の修練と相当な作品数、会場費用も必要です。深山家のバックアップがあったとはいえ、いつの間にそこまで成長したのか。
一般人からみたら十分恵まれている環境のように思えるけど、育った環境が環境だからやはり失うのは怖かったのかな。
尾形さん、別人クラスに変貌していた
今回の最大の驚きポイントがここかもしれません。
明人が謝罪しようと探していた尾形さんが、なんとザラストラベルの社長として登場。かつてのあの尾形さんとは別人のような貫禄と恰幅になっていて、思わず「え、これ同じ人?」と二度見しました。

最初は善人そうだったのに、人って何歳からでも変われるんだね♬(皮肉)
そして明人のお人好しぶりというか、謝罪のために住所まで調べて出向いていく姿がけなげで。そのけなげさが思わぬ好材料につながるという展開、こやま先生の伏線の引き方が本当に憎いです。
感想まとめ
今回は度肝を抜かれた前回とは打って変わって、じわじわと積み上げていく回でした。
春菜おばさまが「分かった」と泣き崩れた瞬間の希望と、その直後の絶望の落差が激しくて、読後感がずっしり重い。
でもこれがやんごとなき一族の醍醐味。簡単に解決しないからこそ面白い。
これからの展開への期待を勝手に並べます。
明人・美保子コンビの逆襲、マダムキリコが静かに動いているはずという期待、尾形さんザラス疑惑の回収、そして何より圭一の大逆転。あの圭一がただ泣き崩れて終わるわけがない。必ず再起してくれるでしょ!!
「次号が待てない」という状態にまたなってしまいました。こやま先生、本当に罪作りな漫画を描いてくださいます。
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読んでいただきありがとうございました!




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